〇近年の成果:
重陽子の励起状態の観測に成功 クォークの閉じ込め問題に迫る!
2019年1月 7日 15:00 | プレスリリース・研究成果
ηメソンと重陽子の結合状態の観測に成功 クォーク・反クォーク対を構成要素とする重陽子の励起状態の発見
2021年11月30日 14:00 | プレスリリース・研究成果
SPring-8で 最大2.4GeVのコンプトン散乱光子ビームを利用してLEPS2/BGOegg実験が実施されています。
BGOeggは、1,320個のBi4Ge3O12クリスタルを卵型に積み上げて構成された大立体角電磁カロリメータです。
このカロリメータは極角24〜144度の範囲を覆い、主に中性中間子からのγ線を検出し、ハドロンの光生成メカニズムを研究しています。
BGOeggでは、最小限の支持体で形状を保持する構造が採用されており、1GeVのγ線に対して1%の分解能でエネルギー測定が可能です。このエネルギー領域では世界最高の分解能を実現しています。
クォーク核物理研究部ではJ-PARCのK1.8BRビームラインにて新たな反K中間子原子核の探索を目的としたJ-PARCE80実験に参加しています。 反K中間子原子核は反K中間子と核子が強い相互作用によって束縛されている系で、核力を媒介する中間子が実粒子として原子核を構成しています。 このような原子核を調べることで核子の質量の起源や中性子星内部の超高密度核物質の解明に貢献できると期待されています。 最も簡単な反K中間子原子核であるK-ppの束縛状態は先行研究であるJ-PARCE15実験において存在が確認されています。 そのため、現在はさらに質量数が大きいK-ppnの束縛状態などのより複雑な系を発見するべく、K1.8BRビームラインの改造とE15のものより大型で中性子の検出が可能な円筒型検出器群CDSの建設を行なっています。 実験提案書はこちら。
陽子や中性子に代表されるハドロンの質量のうち、その構成子であるクォークが担う部分はたかだか数%、残りのほとんどはクォークのダイナミクスを記述する理論である量子色力学(QCD)により支配されている真空の構造の変化(カイラル対称性の自発的な破れ)によりダイナミカルに
獲得されていると考えられています。我々はこれまで、反K中間子(反uクォークを持つK中間子)に注目した研究を展開してきましたが、視点を変え、K中間子(反sクォークを持つK中間子)に注目し、K中間子(ここではK+中間子)
と原子核の弾性散乱の精密測定からハドロンの質量獲得機構の解明を目指した研究を展開しています。